線と束

短歌

2016-06-13から1日間の記事一覧

キロ四方、見えない配慮が張られてる 宇宙みたいに転ばされながら

白天と白砂を縫う白いスレ もっともっともっと見ていたいのに

都市殻がもっと傷つかないためにこの雨玉は留まっている

誠実に肺と言葉をととのえて 過呼吸よりも酸素がほしい

知らなくて懐かしい火の映る幕 きっと父らも焼かれたのだろう

厳しいと、喉の中で気丈さが屈折して潰れそうになる、耐えるけれども、裏返りそうになる

全ての人々を等しく苦しくして 対位法は幸せに笑うが

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アルミを噛む悪い夢みたいな音がする

違うから今世からでは見られない、速の世のこと たまに聞かせて

紫陽花の行く悪夢みたいなスピードは本当だった気がしている

詩人のため詩人の綴ったあの手紙 詩よりもずっと詩的で素敵

メイプルを吸って煙を掻き鳴らす ワイヤー刺さったこうべが痛む