線と束

短歌

短歌

下流から他人の歌が再生する声ではなくてリバーブだけが

顔もなく無言で幸福をやっている、戸外に根ざす紫外イメージ

夜々は遠く紛れて帯となる 大河としての君であってよ

夜空の底 けれど待ってる 今ここは映像予定地 星の来る場所

語れないルールがある 空中劇 けれど僕らは決して負けられない

あと3日の罅におちる私的な破裂 怖くたってどこかにいかなきゃ

デパートの吐かせる霧で満つ街の上下する熱で人は動機付けられてる

その弓でこの胸にあるこのうろを一生をかけて貫いて

寝なかった いつも揺れてるあの街で唯一正しい事をした記憶

神様の影を結んで澱に溜る決して燃えない火事の思惑

手のひらに炎を 手のひらに炎を 瞼には月を 手のひらに炎を

タイムアウト 片手間の言葉々々が青い夜にさす白い稲妻

暴言で錆びせた傘をあげるから そうしてかわいく破壊をしようね

状態と副作用とを持ちましょう それは詩をするために必要なこと

暗く照るチューインガムを指で結んで三角を作る夏墨の夜

そんな簡単にいったい何でどうやってどうして君が夜を越す方法

焦燥に覆いかぶさるこの雲は夏をするのに最適なやり方

反省してますか 時間は足りますか 次があること信じてますか

延長戦を支える技術 次の手を語れるような夜を退けろ

僕も君も刻む抒情や絵巻には「君」とか「僕」とかばっかりだけど

パノラマの橋の向こうには空想の思い出が降ってくる気がしてる

塩を編む僕は悪魔の一員ですが そうと知らずに育って間違った

両岸から知らないSSIDと濡れない水と知らない花火

すみません午後休みますそして息止めてささやかな灰でありたい

開幕の手を握り目を伏せ呟く最高はどれくらい最高

壊さないまま壊すには、いくらくらいのやらかさならば

ありがと、雨は朝まで止みそうにないから、まずいブラックコーヒー

皆のする血液という名のそれがどうしてお前にも濡れている

消息を寂しいと思わない事だ それはまだアヴァンなのだから

天球に知人友人を割り当てる 父はこの世の嘆き担当