線と束

短歌

2016-06-11から1日間の記事一覧

誘うのは、蚊か、蛾か、花か、クチクラか、コーラ売り機の蛍光灯か

川辺には呼吸も蛍もいないのに彼岸のファミマはあんなに赤く

玄関で叫ばないでドアを叩かないで自分の仕掛けになりきらないで

追い越して背景に写り込んだ後何を期待し笑っているの?

冗談も言えない癖に笑うのは笑いたいだけ いいじゃん、ほっといてよ

純粋な空間にいないとお前は話せない だから今は話せる

公然と死体する姿、とても素敵 遵法精神抱かれたげたい

哲学はしてない 綺麗な装丁の思想誌を買い詩だけ愛してる

適職が「詩人・旅人」な俺たちはポエムするしか泣けない身体

忘れようと示し合わせた後でさえ当然のよう笑ってるだろ

典型的オタク気質と言う俺の一体何のオタクでもなく

笑われて、違う蛍を知る 違う人に教えてもらいたかった

酒を吸い外国の昼を回転する 夜を歩けどもヒントは見えず

君と君たちの空白が現れる 10を過ぎたら拷問の時間

睡蓮のシルクの上に像をなす知らない雨に包まれている

成人でいれるからって煽らないで 僕らだってそうやってあろうとしたんだ

人でなし、四方に響く車輪音 何もないこと忘れそうになる

ひとの詩の言葉をパクる 僕よりも僕を知ってるような気がする

飽きれないいつも通りのDメジャー 前より下手に歌えてうれしい

君たちのそうなりたさを見届けて父ら母らの透き出るエモ

今日もまた溶かしていった映像たち 忘れ難きを耐え、憎み難きを忍び