線と束

短歌

2016-06-09から1日間の記事一覧

こっちみて棘ってしないで ただありたい、聞いてたいだけ、知ってたいだけ

夜を捨て二時の神戸の陽を見たい どこより長閑でだれより静か

孤児たちのここは眠らない側の宇宙 濃さと無さとがおんなじになる

紫の放課後を見る ただ覚えていられればいいなって、それだけ

見てるのは本物なのかな 今日も眼に鏡をうめて世界を捻る

枕から沁み込んできた幻聴を洗い流して今日をはじめる

感じない!ああ、皆と同じように喜怒哀楽の手術を受けたい

心ない僕は電波が悪いから受動意識すら薄弱になる

早く僕を数値にしてくれ それまでは綺麗になって待っているから

その膝のきらめく海抜20ミリ誰にも見せない秘密の光

京の夜の十字に倣う葉脈は凪いでいるのか死んでいるのか

星空は絶えず自転し天の川は絶えず流転する そしてお前は

コーヒーも酒もしないがマリファナの柄のピックでサイケを鳴らす

滑らかな所作になりたい夢ならば重力にそって笑えるような